システムのテストでは、アプリケーションが仕様通りに動作するか、また不測の事態に対して適切に対処できるかを確認することが不可欠です。これを支えるのが「正常系テスト」と「異常系テスト」です。両者の特性や役割を理解することで、堅牢で信頼性の高いシステムを構築できます。
1:正常系テスト「仕様通りの動作を確認」
正常系テストは、ユーザーが意図した通りにシステムが動作することを確認するためのテストです。
システムの基本機能やプロセスが問題なく動くことを保証します。
- 主な特性
- ユーザーの正しい操作や想定された入力を対象とする。
- テストケースは仕様書や要件定義書に基づいて作成される。
- システムの基本的な動作保証を目的としており、テスト全体の大部分を占める。
- ex
- 正しいIDとパスワードでログインできるかを確認する。
- カートに商品を追加し、購入手続きを正常に完了できるかをテストする。
2:異常系テスト「不測の事態への耐性を検証」
異常系テストは、システムが想定外の操作やエラー条件にどう対処するかを確認するテストです。正常系ではカバーできない例外的な状況への対応を検証します。
- 主な特性
- 想定外の操作や不正な入力をシミュレートし、エラーが適切に処理されるかを確認する。
- 異常系のテストにより、システムの堅牢性や信頼性が向上する。
- エラーメッセージの適切さやシステムの安定性をチェックする。
- ex
- 誤ったパスワードを入力した際にエラーメッセージが表示されるか。
- ネットワーク切断中にデータ送信を試みても、アプリがフリーズしないかを確認する。
3:正常系と異常系の違い
以下に正常系テストと異常系テストの違いについて大まかにまとめた表を添付しておきます。
4:正常系と異常系の関係
- 相互補完的な役割
- 正常系テストは、基本的な機能が仕様通りに動作することを保証します。一方、異常系テストは、想定外の条件でもシステムが安定して動作することを確認します。これらを組み合わせることで、システム全体の信頼性が高まります。
- 視点の違い
- 正常系: 仕様通りの操作を確認する。
- 異常系: 想定外の操作やエラー発生時の挙動を検証する。
- バランスの重要性
- 正常系だけでは、現実世界での使用に耐えられないシステムになる可能性があります。異常系を組み合わせることで、より実践的な動作確認が可能になります。
5:異常系テストが必要な理由
- ユーザーエクスペリエンス(UX)の向上
異常な操作やエラー時でも、ユーザーが適切なメッセージを受け取り、問題を解決できるようにすることでUXが向上します。
- セキュリティの確保
悪意のある操作(例: SQLインジェクション、XSS攻撃)への耐性を持たせることで、システムを安全に保つことができます。
- システムの安定性
エラーが発生してもクラッシュやデータ損失が起きず、アプリケーションが安定して動作することを確認します。
- 現実的な使用条件への対応
ユーザーは必ずしも想定された通りにシステムを利用するとは限りません。異常系テストを行うことで、より実際の利用状況に近いシナリオに対応できます。
6:結論
- 正常系と異常系テストを組み合わせることで、システムの信頼性と堅牢性が向上します。
- 正常系テストで仕様通りの動作を確認しつつ、異常系テストで想定外の条件への耐性を検証することが重要です。
- 特に異常系テストは、システムが現実の利用環境や不測の事態に対応できるかどうかを確保するために欠かせない要素です。
テスト設計の際は、両者のバランスを意識し、実用性の高いシステムを目指しましょう!
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